昼下がり



「届くといいな」
「え?」
「お前の想いが、届くといいな」

 瞳を閉じるのだ。
 太陽が眩しいから。
 太陽みたいな、向日葵が眩しいから。
 いま、風が吹けばいいと思った。
 そして、そう。
 届けばいい。
 あなたに、ただ、届けばいいのに。

 いい人そうな顔をして、私をそんな風に遠ざけないで。
 あなたに、幸せを願われたくなんかないの。
 そんな風に、笑って逃げたりしないで。
 傷付ける事は、出来ないなんてただの言い訳。

 向日葵が揺れた。目を閉じても残像が、残りそうで。
 煩わしくて、顔を背けた。
 あなたのことが、残像のように。
 記憶に残る事なんて、分かりきっていて、
 煩わしくても、なす術が無かった。
 あなたのことを、思い出すのが、向日葵なんかじゃなければいい。
 向日葵なんか。
 夏過ぎて。
 夏過ぎて。
 鮮やか過ぎて。

 春も夏も秋も冬も。
 きっと思い出すよ。
 優しくて卑怯な人だったと、きっと思い出すよ。


photo by MIYUKI PHOTO   


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