雨 滑るように静かな流れで、通り抜けていく穏やかな時間に、 君は一人、立ち尽くしている? 僕が隣にいることを、君はちゃんと覚えている? 世界に所属できないように君は、流れの真ん中で歩みを止める。 伸ばした背筋が潔くて、とても淋しいのだと分かっていた。 緩慢に振り返る、視線がただ投げかけられる。 感情が読めないいつもの瞳は、ただ存在だけを主張する。 君は振り返り、そしておもむろに笑うだろう。 完全に割り切ったような表情の向こうで、でも君はとても淋しいのだろう。 冷たい雨に打たれているようだね。 いつも。いつも。 冷えた体を気にすることもなく。 ただ雨の中にいるようだね。 温まってもいいんだよ? 誰かが差し伸べてくれた手を取ることは 決して卑怯ではないんだよ? 何も弱くなんてないんだよ? 僕はいつまでも何も出来ずに。 君の隣に立っていた。 ここに傘があるんだよ。 差し伸べる手もあるんだよ。 ただ振り返った瞳だけが、僕の全てを拒絶する。 優しく優しく否定する。 君は笑って、ぞっとするほど つめたく冷えて 僕は動けないまま、立ち去ることも出来ないまま。 そして傘も捨てられないまま。 まるで、賭け事みたいな人生だよな。 そう言って君が笑って、僕は答えを探せなかった。 |
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