side狩野 (vol.2)



 冷静だ、そつがない、と人には言われる。
 同時に、なに考えてんだかわからないけど、と思われていることも知っている。
 まったくその通りだ、と思う。

 わかんないだろうな…

 何しろ、自分にだってよくわからないのだ。


 別に世間に無関心なわけではない。むしろ積極的に関わっている方ではないか。
 他人のことにはたいした理由もなく結構心を砕いている。例えば今みたいに。
 回りの人間の揉め事や懸念の、結び目の位置は不思議とよくわかる。どこをどう引けばうまく解けるかということも。

 ただ、ひとたび自分のことになると皆目検討もつかない。
 今、自分のこころが、誰にむいているか、なんてことすらさっぱり。

 すべては一定の低温で、ひどく平らかで滑らか。掴み所もないまま、俺の些細な逡巡とはかけ離れたところで、完璧に自己完結している気がする。
 隣を歩く桜井の、のぞみを確かに秘めた視線はちょっと重い、と思う。
 田島の、不器用に抱えたままの片思いは痛々しい、と思う。
 そんなもの、扱いが面倒そうだから別にいらない、とさめた態度を取ってはみるけれど結局のところ、やっぱりどこか、いつも羨ましかった。


「桜井とつきあってよ」

 そう言った田島の気持ちは、まるで分からないわけではない。俺は人のことにはそれなりに聡いのだ。
 田島が桜井を、もしくは相川を、誰かに預けたくなる気持ちはわかる。

 だけど俺じゃぁだめだろう?

 俺なんかを、信用なんかしてどうするんだよ。
 田島は何か誤解している。というか、妙に買い被っている。

 俺は田島が思うほど、できた人間なんかじゃないんだよ。

 いつかそう伝えなければ、と常々思っているけど、がっかりされる気がしてなんだか上手く言えないでいる。



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